引き上げ姿勢を考える(後編)


前回のブログで

引き上げ姿勢を獲得するために

まず正しい呼吸を獲得させることが必要である

と、お話しました。

 

 

呼吸をする上で欠かせないのが

【胸郭】(肋骨・胸椎・胸骨をまとめた総称・骨格の一部)と呼ばれる部分の動きになります。

息を吸うと、胸郭は膨らみます。

 

より詳しく説明すると

線を引いた部分より上は、前後に動く働きをし

線を引いた部分より下は、横に動く働きをします。 (横径拡張)

 

バレエの姿勢でよく注意されやすい[あばら]は、胸郭の中でも下部と言われる部分。

単純に息を吸えば肋骨は横に広がります。

しかし、この機能を正しく獲得されていない場合に、あばらが目立つ使い方になってしまいます。

 

 

よくあるのが、一生懸命空気を取り込もうとして肋骨を前に広げようとする使い方。

特に、

[お腹をへこます+肋骨を前に突き出す]

 

この動きでは、あばらが目立つだけでなく、息を止めがちになるため長時間踊り続けることは出来ません。

 

さらに、肋骨の動きが獲得されていないと肩で呼吸する癖が出てしまうため、首が短く見えて、体幹はブレやすく安定しません。

これだと、顔が前に出やすくなるので背中が丸くなる傾向があります。

 

写真で見比べてみます。

 

:正しい姿勢に近い状態

真ん中:頭が前に出ていて首がすくんでいる

:お腹をヘコませて、無理やり引き上げている

 

本人はお腹に力を入れているつもりでも

外から見ると、力んでいるように見えたり、違う部位に力が入っているように見えてしまします。

 

 

 【体幹の強さ=お腹に力を入れる=お腹をへこます】

 

こんな式が出来上がっていたら一旦リセットさせましょう!

 

お腹をへこますことが強さではありません。

むしろ、体幹を安定させるためにはお腹をへこませないようにしましょう。

 

そして、引き上げ姿勢を作り出したいからと言って肋骨を上に持ち上げてしまうと胸を突き出したような姿勢になりやすいので、こちらも要注意です。

 

もう一度写真を見てみましょう。

左の写真と残り2枚の写真には明らかな違いがあります。

 

 

左は、肋骨が上に動かないよう固定した状態。

真ん中と右は、肋骨を上に引き上げた状態。

 

言葉の意味そのままで体を動かすと、実際は姿勢が崩れてしまいます。

 

左のような体幹を身につける為に必ず出来るべきなのが

[風船をふくらますこと]

 

この時に使われる力が姿勢を維持する時の感覚に繋がっていきます。

 

 

引き上げ姿勢を獲得させる為は

①正しい呼吸(横径拡張)が出来ること →ストレッチポール

②風船を膨らませるだけの息を吐く力があること →風船トレーニング

これらを完璧にさせましょう。

 

そうすることで、その先に

床反力(下肢が床を押すことではね返ってくる力)を利用して立つ

 

という、本来の立ち方に繋がっていくはずです。