当院受診のバレエダンサーさん。
割合として大人バレエの方が増えています。
成長期のバレエダンサーと大人バレエでは気を付けることが違ってきます。
その一つが骨折のリスクです。
成長期においての骨折は疲労骨折が多くて、骨密度を上げるためにも休養や栄養が必要になります。
一方大人バレエの方、特に40代以上になると、骨密度が下がることによる骨折リスクを考える必要があります。
女性ホルモンは骨を作る、壊すのバランスを保つために重要ですが、閉経に向かって女性ホルモンが安定しない閉経前5年、女性ホルモンがぐっと減る閉経後5年では骨を破壊する方が大きく働いてしまいます。
バレエをやる方にとっては「トゥシューズ」は憧れであると思います。
トゥシューズを履くために、小学生であれば週3回くらいのレッスンで足の強さを作っていったりします。
究極、トゥシューズを履いて踊るのは、トップやそれに近いパフォーマンスで踊れる30代前半くらいまでのバレエダンサーを想定していると思います。
大人から始めた方は、そもそも子供のころから強い足を作ることがされていなかったり、年齢にあらがってトゥシューズを履いてみると「骨折のリスク」はとても大きくなります。
幸いなことに、大人バレエでトゥシューズで足の骨折をやってしまったという患者さんはうちには来ていませんが、肋骨骨折というのは意外にもあります。
発表会に向けて、簡単なリフトであれ、チャレンジしてみたい気持ちはとってもわかります。
でも、相手の男性にとっては経験値が少ない女性をサポートするときにはとっても気をつかうこと、いつもと同じホールドでやってしまうと、相手は骨密度が下がっていることもありリスクはとっても大きくなります。
支えただけで折ってしまうことはあります。
パ・ド・ドゥはバレエ作品においても最大の見せ場であるから魅力があることは私自身もよくわかっています。
でも・・・・それはトップの方たちが作品を作るために想定されたもので、それを踊るのが40代や50代だとは思っていないと思います。
実際40代のダンサーでできるとしてもそれまでの積み重ねがあってのことで、つまり経験値がアドバンテージなだけで、実際は骨密度は一般の方のように落ちていってはいます。
芸術的な側面を追うことはバレエの極みでもありますが、医療者として、ここは言及しておかないといけないことでもあります。
バレエをやる方の味方でありたいとは思いますが、それは無理を押し通すことの助けをすることではないことは覚えておいていただきたい。
バレエシューズでもきれいに踊れるダンサーであってほしいと願います。
一方で、どうやったら姿勢を治せるのか、どうやったらアンディオールができるようになるか、どうやったら反り腰を改善できるのか・・・・
そういうところの「医学的なアプローチ」でのお手伝いはできます。
もっとうまくなりたいのお手伝いをぜひさせてくださいね。