先日、一人の患者さんとの会話でハッとさせられました。
“いつもより長く治療をしてもらえるのですか?”
という質問だったのですが、ここに治療家と患者さんの認識のずれがあるんだと気づかされました。
・マッサージは強い刺激の方がいい
・痛みがなくなったら治っている
・手術しないと治らない
・痛いところが悪いところ
・一発で治る治療がある
これらはすべて患者さんの思い込みでもあります。
どの項目にもメリットデメリットはあるのですが、デメリットを中心でお話すると
マッサージは強い刺激の方がいい
→ 軟部組織を壊すこともありますし、強刺激によって交感神経優位になりやすくリラックスは得られない。
痛みがなくなったら治っている
→ 事故や外傷でない限り、一発、一撃で壊れることはなく、じわじわ壊して痛みがでているので、絶好調から60%くらいを切ると痛みがでると考えると、
痛みが無くなったのは、70%のところにいるだけかもしれず、自分身体の中に余裕はあまりない状態。
手術しないと治らない
→ どんな手術もリスクはあります。そして、オペをやっても痛みが消えないことがあります。痛みや不調の「誘引の一つ」がオペで取り除かれただけで、
本当の原因が残っているまたは改善指導されないことがある。
痛いところが悪いところ
→ 同じ不良姿勢を続けていることで腰が痛くなったとしたら、腰を治したら姿勢が治る?? 痛みが出ている場所の炎症をとっても原因はとれない。
一発で治る治療がある
→ 壊すまでに時間がかかったものを治療家への他力本願だけになって自分でケアすることを忘れる。軟部組織の回復には4週、骨が生まれ変わるのには年単位が必要です。
見た目だけかわっても身体の中身は回復に時間がかかります。擦り傷ができて、かさぶたになってはがれるまで時間かかりますよね?
という感じです。
これと同じようにあるのが、今回患者さんから言われた
「いつもより長く治療をしてもらえますか?」
みなさんは、同じ結果がでるとわかっているオペがあるとしたら、
5時間かけてやるドクターと1時間で終わらせるドクターだったらどちらのドクターを選びますか?
結果が同じなら、1時間で終わらせることができるドクターを選ぶと思います。
私がやっていることは、患者さんのニーズにこたえることであって、
時間をかけることではありません。
できればみなさん治療にだって来たくないはず。
その時間があればできることがあるのに、「できないこと」「困ったこと」があるから治療に来るのです。
だとしたら、そのできないこと、困っていることを軸に治療計画を立てています。
これが顕著なのがスポーツ選手です。
痛みがあって治療にくるのは「ベストパフォーマンスがしたい」からであって、
痛みがあるからではありません。
もし、選手生活を辞めてしまったらきっと彼らは多少痛みがあっても通院はしないでしょう。
だって、日常生活はそこそこ送れたりするわけで、ベストパフォーマンスをみせることはないので痛みを特別とることもない。
患者さんのやりたいこと、できなくて困っていること、そこにフォーカスして
できるだけ短時間で効果が高く結果を出せる方法を私自身は常に考えて治療をしたり、
勉強したり、セミナーに行ったりしているわけです。
同じ結果を出すなら、治療は、踏襲性は低く、時間は短い方が患者さんには負担にならないのです。
つまり、困りごとに対する解決策を出すことに対して対価を皆さんからいただいています。
かける時間で対価はいただいてはいないのです。
・・・・とはいいながら、たくさん話を聞いてくれたり、一人にかける時間が長いと「良い先生」だと思う傾向は間違いないくあります。
私自身は治療は、短時間、最初の悩みを聞いたり、寄り添うのはしっかり時間をとると考えているために初診のラボの曜日を保険診療とはわけて設定しています。
2回目以降はラボの時間ではなく、フォローという形で、短時間で効果を出せるのによりフォーカスしています。
患者さんの思い込みと、治療家の想いの距離が縮まればなぁ
そんなことを思いながら記事にしてみました。
フォローであってもじっくり話を聞いてほしい場合は、ラボの水曜日、土曜日でご予約をお取りください。
ただ、その場合は、別途1080円だけかかることもご了承くださいね。