スポーツ貧血と繰り返すけが


最近聞かれるようになった「スポーツ貧血」

これ自体は病名ではなくあくまで症状を表した用語になります。

ぎっくり腰や五十肩みたいなものです。

 

なので基準値も正式なものがあるわけではなく参考値になります。

(出典元:明石スポーツ整形)

 

こんなかんじ。

ポイントとしては一般的な血液検査では問題なしと判断されても、アスリートとしては貧血な状態

治療として鉄剤を使って一時的な回復をしたとしても、いずれ再発してしまうこと。

 

 

スポーツ貧血でどんな症状がでるのかなどはネットサーフィンするとでてくるのであえてここでは書きません。

ここではほかに載ってないお話をしたいと思います。

選手の許可を得たデーターをお見せすると・・・

ヘモグロビン値13.0 でフェリチンが4.9 なので「スポーツ貧血」に該当します。

上記は審美系競技で14歳、疲労骨折で来院されました。

この時点で「この選手は本来出せるはずの、ベストパフォーマンスを出し切れていない」ことが想像できてきます。

 

 

一方で、部活を楽しむ程度だった私みたいな中学生だったら普通に青春を謳歌できるでしょうね。

・・・いや、でも私高校の時に駅でぶっ倒れて救急車で運ばれましたけどね。

 

 

さて、選手としての話に戻りましょう。

鉄欠乏性の貧血を診るときに

「ヘモグロビン、鉄、フェリチン」を参考にします。

フェリチンがなくなって、鉄がなくなって、最後にヘモグロビンが低くなっていく傾向があるからです。

この選手は「ヘモグロビン13.0 鉄99 フェリチン4.9」なので数値だけみると

「とりあえず異常なし」ってなってしまうのが実は落とし穴です。

鉄の数値は炎症があると血中に鉄がでてしまうので高値になりやすいからです。

「鉄 99」を「正常」とみるのか、「フェリチン4.9でこの数字はおかしくないか?」という目をもてるか

なので他の数値をみて、炎症が作用している数値なのかそうではないのかの見極めも大事になります。

一般的な血液検査を栄養学的な見方から読み解くにはコツがいります。

 

 

また骨折のリスクとして挙げられる項目として

★LDLコレステロールが低値

★ALP低値

★鉄欠乏

★低タンパク

上記が正常でないとコラーゲンが作られずに、それがないとカルシウムがついて骨が作られるということが起きないからです。

貧血があって、疲労骨折があると安易に「鉄」を補給しようとする方もいますが、鉄の取り扱いはとっても難しいもの。

骨折を治そうとカルシウムを増やす人がいますが、カルシウムもとればとっただけ吸収できるものでもありませんし、吸収できる以上には入らないのでたくさんとっても骨太になるわけでもありません。

 

 

ここまでスポーツ貧血と疲労骨折からみた血液データーとの関連をお話してきました。

選手がうちに来院するのは、貧血を治すこと、骨折を治すことが目的ではありません。

それらはあくまで「手段」です。

最終的な目的は「ベストで競技をする」ことです。

好きで続けている競技やダンスを長く、健康でやっていけるように私自身は寄り添います。

 

 

 

そのために必要なのがからだを作る「環境」と「材料」です。

どちらか、または両方が欠けてしまっていてはどんなにがんばっても「ベストパフォーマンス」は出せないのです。

スポーツ貧血の特徴は、通常の治療をしたところで、再発するおそれが高いこと。

ドクターの指示にしたがってしっかり休んでいた。

リハビリもしっかりやっていたけど、大事な大会前に再発して結局は出場できなかったを繰り返す選手もいます。

スポーツ貧血は、栄養という材料だけで、練習量を減らしただけでは解決が難しいからです。

圧倒的な運動量が入るので、練習を再開すると有効エネルギーも不足してしまうからです。

 

 

以前参加したスポーツ栄養のセミナーでも講師の方がおっしゃっていましたが、

「細胞レベルで戦えるのか」

がやっぱりキーになってきます。

 

怪我を繰り返す、がんばってるけど大会で成績が思うように伸びない、すぐに疲れるようになった、朝が起きられないようになったなどがあった場合は一度血液検査を受けてみることをお勧めします。

 

 

通常の血液検査は20項目くらいしかなくて抜け落ちが多いので、院ではドクターにお願いして47項目まで増やしてもらっています。

現在、私が知る限りでは、これらの栄養療法に適した採血ができるのはいくつかありますが、ここでは名古屋市内の2か所をあげておきます。

★名駅ファミリアクリニック 

 ファミリアクリニックさんは、栄養学的な読み取りはしません。血液検査で異常があった場合はそのまま対応してくださいます。

 これまでも甲状腺機能低下やピロリ菌などで治療に至ったケースがあります。特に異常がない場合は、私の方で栄養アドバイスをさせていただいています。

 詳しくはこちらのページを参照

 

★いりなか駅前皮フ科ビューティークリニック

 院長の祖父江先生がオーソモレキュラー療法(栄養療法)を勉強されていて、60項目の血液検査後、カウンセリングもされます。 

 詳しくはこちらのページを参照

 

オーソモレキュラーや分子栄養学などのキーワードで探すと他にもでてくると思われます。

血液データーを使った栄養指導は、サプリありきではないので高額のサプリを買わされる!と思わなくて大丈夫ですよ。