【こんなお悩みで来院されました⑰】ポワントレッスンが続くと膝が痛い13歳。トウシューズは何歳から履ける?
■ 来院された方
13歳・バレエ女子
問診票には、このようなお悩みが書かれていました。
- 股関節が硬いと言われる
- 足首も硬いと言われる
- ポワントレッスンが続くと膝が痛くなる
- 翌日になっても膝の痛みが残る
お話を聞いていくと、トウシューズを履き始めたのは小学4年生の頃でした。
そこで今回は、この症例をきっかけに、
「トウシューズって、何歳から履いていいの?」
というお話を少ししてみたいと思います。
「○歳になったから履ける」ではありません
トウシューズを履き始める年齢について調べると、「12歳頃」という数字を目にすることがあります。
しかし、年齢だけで判断できるものではありません。
ポワントを始めるためには、足や足首だけではなく、脚の筋力や身体を支える力、アライメント、体幹や骨盤のコントロール、これまでのバレエ経験やレッスン量など、さまざまな要素を確認する必要があります。
ポワント開始についての研究でも、暦年齢だけで判断するのではなく、実際の身体機能を確認することの重要性が指摘されています。
つまり、
「小学○年生になったから」
「お友達が履き始めたから」
だけでは、その子の身体がポワントワークの準備をできているかどうかは分からないということです。
当院では成長そのものも確認しています
成長期のバレエの子には、当院では定期的に体組成を測らせてもらうことがあります。
ここで見たいのは、
「体重が増えた・減った」だけではありません。
成長期は身長が大きく伸びる時期です。
それと一緒に、身体をつくる除脂肪体重(LBM)が増えているかも大切なポイントになります。
LBMとは、体重から脂肪量を除いたもので、筋肉だけでなく骨や内臓、血液なども含んだ重さです。
順天堂大学女性スポーツ研究センターでは、成長期には身長の伸びとLBMの増加に相関があることから、身長とLBMのバランスを確認する「スラリちゃん・伸びマッスル表」を公開しています。
当院でも、この考え方を成長期の身体を見る一つの参考にしています。
「細い=バレエに向いている」ではありません
バレエでは、どうしても体重や見た目の細さが気になりやすいと思います。
でも、成長期の子どもたちは踊るための身体をつくっている途中です。
身長が伸びているのにLBMが十分に増えていない場合には、エネルギー不足も考える必要があります。順天堂大学の資料でも、成長期には体重や体脂肪率だけにとらわれず、LBMを含めて身体の成長を見ることが勧められています。
「体重を増やしたくない」ではなく、
成長するために必要な身体を、きちんとつくれているか。
これは、長くバレエを続けていくためにも大切なことです。
この子が小学4年生だった頃
実はこの子は、以前から当院で体組成を測っていました。
そのため、小学4年生でトウシューズを履き始めた頃の身体の記録も残っています。
当時はまだ成長の途中で、身体を支えるための筋肉量もこれから増えていく時期でした。
だからといって、
「小学4年生でトウシューズを履いたから、今の膝の痛みが起きた」
と結びつけることはできません。
ただし、ポワントワークは身体への負荷が大きくなります。
だからこそ私は、
今の身体が、その負荷を受け止められる状態になっているのか?
を確認することが大切だと考えています。
ポワントで立てることと、身体をコントロールできることは別です
当院では、トウシューズを履き始める時期の子には、必要に応じて身体機能もチェックします。
例えば、
- 片脚で身体を支えられるか
- ルルベで身体をコントロールできるか
- 足首だけで頑張っていないか
- 膝・股関節・骨盤まで連携して使えているか
- 床をきちんと押せているか
など。
ポワントレディネスについても、年齢だけではなく、このような機能的な評価を取り入れることが重要と考えられています。ただし、現在のところ「このテストに合格すれば必ず安全」という世界共通の基準が確立されているわけではありません。
膝が痛いから、膝だけを見るわけではありません
今回のお悩みは、
「ポワントレッスンが続くと膝が痛くなり、翌日まで残る」
というものでした。
だからといって、膝だけを施術して終わりではありません。
股関節や足首の動きはどうなのか。
足裏で床を押せているのか。
片脚になったときに身体を支えられているのか。
そして、今のレッスン量に耐えられる身体が育っているのか。
「なぜ膝に負担が集まっているの?」
というところまで確認していきます。
成長期だからこそ、「今の身体」を見てほしい
子どもは毎年、身体が変わります。
身長が伸びれば、去年までできていた動きが急にやりにくくなることもあります。
筋力や身体のコントロールが、その成長に追いつくまで時間が必要なこともあります。
だから私は、
「何歳だからトウシューズを履ける?」
だけではなく、
「今のあなたの身体は、トウシューズで踊る準備ができている?」
という視点も大切にしてほしいと思っています。
上手に踊るためだけではありません。
ケガをせず、大好きなバレエを長く続けるために。
成長期だからこそ、身体の変化も一緒に見ながら進んでいきましょう。
バレエのお悩みも「あおいラボ」でご相談いただけます
「股関節が硬いと言われた」
「足首がうまく使えない」
「ポワントになると痛みが出る」
「もっときれいに立ちたいけれど、何を改善したらいいのか分からない」
そんな時は、痛い場所だけではなく、今の身体がどのように動いているのかを一緒に確認していきます。
成長期のお子さんの場合は、必要に応じて身体の成長や体組成なども参考にしながら、今の身体に必要なことを考えていきます。
「これは治療院に相談することなのかな?」という段階でも大丈夫です。
参考資料
・順天堂大学 女性スポーツ研究センター「スラリちゃん・伸びマッスル表」
・Hough-Coles K, Wyon M. Determining Pointe Readiness in Young Adolescent Female Dancers: A Systematic Review. 2022.