【こんなお悩みで来院されました⑯】「アンディオールがうまくできない」12歳のバレエ女子。上手くなるために、まず何を見る?

【こんなお悩みで来院されました⑯】「アンディオールがうまくできない」12歳のバレエ女子。上手くなるために、まず何を見る?

■ 来院された方

・カテゴリー:あおいラボ(バレエ初診)
・年代:12歳・女性
・習い事:バレエ

問診票に書かれていたのは……

「アンディオールが上手くできない」
「つま先が伸びない」
「アラベスクできれいに立てるようになりたい」
「ケガをしないでバレエを続けたい」

というお悩みと希望でした。

今回ご紹介するのは、痛みやケガがきっかけで来院されたケースではありません。

もっとバレエが上手くなりたい。

でも、ケガをせずに長く続けたい。

そんな思いで来院された、当時12歳の女の子です。


最初に見たのは「アンディオール」ではありませんでした

アンディオールがうまくできない。

つま先が伸びない。

アラベスクできれいに立ちたい。

こう聞くと、それぞれの形をチェックして、「どうすればもっと開けるか」「どうすれば脚が上がるか」を練習したくなるかもしれません。

でも、最初に確認したのはもっと基本的なことでした。

「ちゃんと床を押せているか?」

バレエでは、脚を上げる、つま先を伸ばす、きれいなポジションを作るなど、どうしても目に見える「形」に注目しがちです。

でも、その身体を支えているのは床です。

床をうまく押すことができなければ、身体を引き上げたり、片脚で安定して立ったり、その上で脚を自由に動かしたりすることも難しくなります。

そして、ただ動きを練習するだけではなく、

身体がどうやって動いているのか=身体のことわり

も少しずつ伝えていきました。

自分の身体で何が起きているのかを知ることも、長く踊っていくためには大切だと考えています。


トウシューズを履くための「身体の準備」も確認しました

ちょうどトウシューズを履き始めた頃でもありました。

トウシューズを履くことは、バレエを習っている子どもたちにとって一つの大きなステップです。

一方で、履き始める時期には、技術だけではなく、それを支えられる身体の準備も必要です。

そこで当院でも、トウシューズを履くために必要となる筋力がどの程度ついているのか、いくつかの動きや筋力テストを使って確認していました。

「トウシューズが履けるようになったから大丈夫」ではなく、

今の身体は、トウシューズで踊る負荷に対応できる状態なのか?

身体側からも確認しておくことが大切です。


「上手く踊る」以前に、踊り切れる身体がある?

身体を確認していく中で、もう一つ分かったことがありました。

当時、一連の身体を動かすプログラムを行ってもらうと、2つ目、3つ目くらいですでに息が上がっていました。

つまり、

アンディオールができない。

アラベスクがきれいにできない。

という技術的なお悩みだけではなく、

そもそもレッスンを最後まで身体をコントロールしながら踊るための体力・持久力も、これから育てていく必要があったのです。

そこで、院で動きを確認するだけではなく、自宅でできることも課題としてお伝えしました。

例えば、トランポリンを使った1~2分程度の腕振り運動。

難しいトレーニングをたくさんするのではなく、

「今のあなたに必要なのは、まずこれ」

というものを持ち帰ってもらいます。

そして次回来院したときに、また身体の状態や動きを確認します。


12歳の身体は、どんどん変わります

子どもの身体を見るときに忘れてはいけないのが、成長です。

初めて来院された頃の身長からその後成長して20cmも伸びました。

これだけ身体の大きさが変われば、当然、身体の使い方も変わります。

脚の長さも変わる。

重心の位置も変わる。

筋力とのバランスも変わる。

少し前までうまくできていたことが、急にやりにくくなることもあります。

だから、

12歳のときに一度身体を評価して、それで終わり

ではありません。

当院では毎年体組成も測定しながら、成長による身体の変化も一緒に確認してきました。

「前はこうだったから」ではなく、

今の身体には何が必要なのか?

その都度見直していくことが、成長期のダンサーにはとても大切です。


「これはやる」「これは今はいらない」

バレエを習っている子たちは、とても真面目な子が多いです。

上手くなりたいと思えば、

ストレッチもする。

筋トレもする。

SNSや動画で見つけたトレーニングも試してみる。

でも、たくさんやれば必ず上手くなるわけではありません。

その時の身体によって、必要なものもあれば、今はまだ必要のないものもあります。

だから当院では、

「これはやる」
「これは今はいらない」
「次までには、まずこれをやってみよう」

と、その時の身体に合わせて課題を整理してお伝えしています。

これは大人でも子どもでも同じです。


「上手くなりたい」と「ケガをしたくない」は別々ではありません

初回来院時の問診票を改めて見ると、最後にこう書かれていました。

「ケガをしないでバレエを続けたい」

私は、この一文がとても大切だと思っています。

アンディオールをもっときれいにしたい。

つま先をもっと伸ばしたい。

アラベスクでもっときれいに立ちたい。

もちろん、どれも大切です。

でも、そのために無理な身体の使い方を続けて、痛みやケガにつながってしまったら、長く踊り続けることはできません。

「上手くなること」と「ケガをしないこと」は、別々の目標ではありません。

床を押す力。

身体を支える筋力。

最後まで踊り切る体力。

そして、成長によって変わり続ける身体。

そうした土台を一緒に育てていくことが、結果としてバレエのパフォーマンスにもつながっていきます。


このケースから分かること

今回のケースは、痛みを治すために始まったものではありません。

12歳の女の子が、

「もっと上手くなりたい」
「そして、ケガをせずバレエを続けたい」

と思ったところから始まりました。

身長も20cm伸びました。

身体が大きく変化していく時期を見ながら、その時々で必要なことを一緒に積み重ねてきました。

そして現在、彼女は海外でバレエを学んでいます。

もちろん、そこまで進んできたのは、本人が長年積み重ねてきた努力があってこそです。

私たち治療家ができるのは、その過程で、

「今の身体で、何ができていて、次に何が必要なのか」

を一緒に確認すること。

痛くなってから身体を診るだけではなく、

「これからも好きなことを続けるために、今の身体を知っておく」

そんな治療院の使い方があってもいいと思っています。

当院では、バレエのお悩みで初めて来院される方は、まず初回で現在の身体や動きを確認します。

その後は必要に応じて、45分の「しっかりフォロー」で、身体の変化やバレエで必要な動き、その時に必要な課題などを継続して確認していきます。

成長期の身体は変わり続けます。

一度「できる・できない」を決めて終わりではなく、その時の身体に合わせて、やることも変えていく。

「上手くなりたい」も「ケガをせずに踊り続けたい」も、どちらも一緒に考えていきます。

バレエのお悩みで初めて来院される方はこちら

※実際の症例をもとに、個人が特定されない形で構成しています。

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