【治療院に持つ疑問⑥】首の痛みは治療したら終わり?繰り返さないための生活習慣チェック
先日、患者さんからこんなご相談がありました。
「肩から腕にかけてしびれがあります。」
「スマホで文字を打っていると、腕や肩、首まで痛くなってきます。」
「腕立て伏せをすると、手首から親指のあたりがピリピリして、力も入りにくい気がします。」
症状についていくつか確認したあと、まず腕立て伏せはいったん中止。
そして、こんなことをお聞きしました。
「最近、パソコンやスマホを見る姿勢はどうですか?」
「枕は高くありませんか?」
「うつ伏せでスマホを見ていませんか?」
「首をポキポキ鳴らす癖はありませんか?」
なぜ、痛いところとは一見関係なさそうな生活のことまで聞くのでしょうか。
それには理由があります。
私の施術は、いわば「身体のサビ取り」です
私は普段の施術を、患者さんに分かりやすく説明するとき、
「身体のサビ取り」
という言葉を使うことがあります。
動きにくくなった関節。
うまく連携できなくなった身体。
そうしたところを確認して、もう一度身体が動きやすい状態を作っていきます。
でも、サビを取ったからといって、それで終わりではありません。
身体に負担をかけていた生活がそのままなら、また同じところへ負担がかかります。
「治療して痛みがなくなった=もう何をしても大丈夫」
ではないのです。
「他力」のあとは「自力」が必要です
当院では以前から、
「自力と他力」
という考え方を大切にしています。
院で行う施術は「他力」です。
でも、患者さんの日常生活を私が代わりに送ることはできません。
→ 身体全体をみながら行う「あおいラボ」についてはこちら
そこで必要になるのが「自力」。
難しいトレーニングを毎日頑張るという意味ではありません。
まずは、
自分の身体に負担をかけている生活習慣に気づくこと。
そこから始めます。
首や肩に負担をかけていませんか?
日常生活チェック
当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
① スマホ・PC・作業中の姿勢
- スマホを見るとき、無意識にアゴが前へ出ている
- スマホを見る時間が長く、視線が下を向いた状態が続く
- ソファーやベッドで、首だけを起こした状態でスマホやテレビを見る
- ノートパソコンを低い位置のまま長時間使用している
- デスクワークで同じ姿勢が1時間以上続くことが多い
- 集中すると、歯を食いしばったり奥歯を噛み締めたりしている
② 腕・肩の使い方
- パソコン作業中、肘を浮かせたままキーボードやマウスを操作している
- いつも同じ手で重いバッグを持つ
- いつも同じ肩にバッグをかける
- 腕を上げた状態で長時間作業することが多い
- 腕立て伏せやウェイトトレーニングを、フォームを確認せず繰り返している
③ 睡眠・リラックス時の姿勢
- 高すぎる枕を使っている
- 頭が大きく沈み込む枕を使っている
- うつ伏せで寝ることが多い
- うつ伏せのままスマホを見ることがある
- 電車や車の中で、首が前に倒れた状態で長時間眠ることがある
④ 首・背中の使い方や習慣
- 首が凝ると、自分で「ポキッ」と鳴らす
- 背中を動かす機会が少ない
- 肩甲骨を大きく動かすことが少ない
- 上を見るとき、背中を使わず首だけを反らしている
- 痛みがなくなると、すぐ以前と同じ運動や生活に戻している
いくつ当てはまりましたか?
ここで、
「5個だから危険」
「10個だから頚椎に問題がある」
という判定はしません。
このチェックリストは、病気や頚椎の状態を診断するためのものではありません。
一つしか当てはまらなくても、その習慣を毎日何時間も続けていれば身体への負担になるかもしれません。
反対に、たくさん当てはまったからといって、それだけで頚椎に病気があるとは判断できません。
大切なのは点数ではなく、
「自分の生活の中に、身体へ負担をかけている習慣はないかな?」
と振り返ってみることです。
全部を一度に変える必要もありません。
まずは一つ。
変えられそうなものから見直してみてください。
痛みが取れたら「元の生活」へ戻る?
ここが、私が一番お伝えしたいところです。
施術を受けて、
「痛くなくなった!」
「動けるようになった!」
そこで以前とまったく同じ生活へ戻ってしまったら、どうでしょう。
身体に同じ負担をかけ続ければ、また同じところへ負担が集中する可能性があります。
だから、
施術 → 痛みが取れる → 元の生活に戻る
ではなく、
施術 → 動けるようになる → 生活を見直す → 自分で良い状態を維持する
ここまでを私は大切にしています。
施術で身体の「サビ」を取るのは私の仕事。
その身体をどう使っていくかは、患者さんと一緒に考えていく仕事です。
ただし、生活習慣だけで判断してはいけない症状もあります
チェックリストとは別に、
- しびれが続く、または広がっている
- 明らかに力が入りにくい
- 箸やボタンなど細かな手作業が以前より難しい
- 歩きにくさや足のもつれを感じる
などの症状がある場合には、単なる姿勢や生活習慣の問題と自己判断せず、医療機関での診察が必要になることがあります。
「これは様子を見ていていいのかな?」
と迷ったときには、ご相談ください。
治療はゴールではありません
痛みを取ることはもちろん大切です。
でも私は、その先にある
「自分で自分の身体を良い状態に保てること」
をもっと大切にしています。
身体を整える「他力」と、
生活を見直す「自力」。
どちらか一方ではなく、両方があって初めて、良い状態を長く維持できると考えています。
せっかくサビを取った身体です。
また同じところにサビを作らないために、
まずは今日の生活の中から、一つだけ見直してみませんか?