バレエがHIP HOPを踊ると「なまる」理由

私の院には、患者さんの5〜6割ほどダンサーさんが来院されます。 そこでよく耳にするのが、こんな悩みです。

「バレエをずっとやってきたけど、HIP HOPがどうしても上手く踊れない…」 「他ジャンルの子が『基礎はバレエ』と言われて習いに行ったけど、難しすぎて絶望した…」

一生懸命練習しているのに、なぜか上手くいかない。 実はこれ、あなたの努力不足やセンスのなさのせいではありません。

原因は、脳内の「OS(システム)」「言語」のミスマッチにあるんです。

1. バレエとHIP HOPは「Mac」と「Windows」くらい違う

そもそも、バレエとHIP HOPは、パソコンでいうOS(基本ソフト)の根本が違います。例えるなら、MacとWindows、あるいはiPhoneとAndroidくらい別物なのです。

「バレエはすべてのダンスの基礎」とよく言われますが、実はOSレベルで見ると、必ずしもそうとは限りません。

バレエのOS(Mac)を積んだまま、HIP HOPというソフト(Windows)を無理やり動かそうとすれば、脳内でシステムエラーが起こるのは当然のこと。 ちなみに、コンテンポラリーダンス(コンテ)なんて、もう「Linux」のような独自の世界ですから、なおさらです。

うまく踊れないのは、練習が足りないのではなく、「OSを切り替えていない」から。切り替えないまま無理に動かそうとするからバグが起き、それが「怪我」という形になって現れるのです。


イメージ画像をAIに作ってもらったら、意外とかっこよくなっちゃいました(笑)

2. 「フランス語」のなまりで「英語」を話していませんか?

この「OSの違い」を、もっと身近な「言語」の話に置き換えてみましょう。

バレエは、厳格な文法を持つ『フランス語』です。 膝の向き、つま先のライン。冠詞一つ、綴り(スペル)一つ間違えても美しい文章にはならない。その完璧なルールを守り抜くのがバレエの正義です。

一方、HIP HOPは『英語』です。 文法も、身体の使い方も、フランス語とは全く別のルールで動いています。

バレエの子がHIP HOPを踊って「なんだかダサく見える」のは、身体が「フランス語のなまり」を全力で引きずっているからなんです。「膝はこう!背中はこう!」というバレエの厳格な文法を脳が律儀に守ろうとしすぎて、HIP HOPのリズムに対して脳が「翻訳エラー」を起こしている状態といえます。

逆に、英語(HIP HOP)が母国語の子が、いきなりフランス語(バレエ)の複雑な活用を求められたら「むずい!」とパニックになるのは当然のことですよね。

3. 脳の「切り替えスイッチ」が上達と怪我防止の鍵

さらにコンテとなると、特定の言語というよりは決まりのない『自由な詩』。 フランス語の完璧な文法でガチガチになっている子が、いきなり「さあ、自由に詩を詠んで!」と言われても、脳がフリーズして詠めないのは当たり前なんです。

「表現したいのに、身体がついてこない」 「かっこよく踊りたいのに、なまりが抜けない」

この脳のミスマッチ(バグ)を抱えたまま、練習量だけで解決しようと無理に動くことが、実は一番の**「怪我の入り口」**になります。

上達の鍵は、がむしゃらな練習量ではなく、脳内の「切り替えスイッチ」を持つこと。

今、自分の脳がどのモードで動いているのか。 それを意識するだけで、あなたのダンスも、そして身体の守り方も、ガラリと変わるはずですよ。

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