顎関節って、そもそも何をしている関節なんですか?
~顎は身体のバランサー~
「顎関節」というと、
「口を開けたり閉じたりするための関節」
そんなイメージを持っている方が多いと思います。
もちろん、それも大切な役割です。
でも、本当にそれだけでしょうか?
私は23年以上、患者さんの身体を診てきました。
その中で感じているのは、
顎は、身体全体のバランスを取るためにも働いている関節ではないか。
ということです。
これは教科書に書いてある話ではありません。
私が日々の診療の中で、患者さんの身体を見続ける中で感じてきたことです。
高齢の方を見ていて気付いたこと
高齢の患者さんの中には、
座ったまま口を小さく「くちゅくちゅ」と動かしている方がいます。
一見すると、ただの癖のようにも見えます。
でも私は、この動きがずっと気になっていました。
「どうして口を動かしているんだろう。」
そう思いながら何年も患者さんを見てきました。
年齢を重ねると、一歩目を踏み出すこと自体が難しくなります。
そんな時に、口を小さく動かしながら身体全体のバランスを整え、動き出す準備をしているように見えることがあるのです。
もちろん、これは私が長年現場で患者さんを診る中で感じていることです。
身体は衰えた機能を補うために、私たちが思っている以上にさまざまな工夫をしています。
顎も、その工夫の一つなのではないか。
私はそんなふうに考えています。
スポーツの現場でも同じことを感じます
この考えは、高齢の方だけではありません。
スポーツの現場でも同じように感じることがあります。
私はバレエやフィギュアスケートを中心に、多くの身体の動きを見てきました。
そこで感じるのは、
身体のどこかがうまく使えなくなると、その影響は顎にも現れる。
ということです。
顎は身体全体のバランスを取る役割も担っています。
そのため、身体全体の連携が崩れてしまうと、顎にも負担がかかります。
そして、その負担が積み重なった結果として、顎関節症という症状が現れているのではないか。
私はそう考えています。
例えば体操競技のように空中で回転する競技では、顎の動きが制限されることで、本来の動きが出しにくくなる場面があります。
顎は口だけを動かしているのではなく、身体全体と連動しながら働いている。
そんなことを実感する瞬間です。
だから顎だけを診ることはありません
だから私は、顎だけを診ることはありません。
いつだって、身体全体のつながりを観察します。
これは特別なことではありません。
普段の診療で、いつも行っていることです。
私が確認しているのは、
・頭からの指令は、ちゃんと身体へ伝わっているのか。
・関節は”さびついて”動きが悪くなっていないか。
・身体全体がうまく連携して動いているのか。
こうした基本的なことです。
身体全体がうまく働いていなければ、顎だけを調整しても根本的な負担は変わりません。
だから当院では、顎だけではなく、身体全体の動きを確認しながら施術を行っています。
おわりに
顎関節は、口を開け閉めするためだけの関節ではありません。
私は日々の臨床を通して、
顎は身体全体のバランスを支える役割を担っている
と感じています。
顎関節症は、顎だけに原因があるとは限りません。
身体全体がうまく働かなくなった結果として、顎に症状が現れていることもあります。
だから私は、顎だけではなく、身体全体を診ることを大切にしています。